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012 株式会社ツインプラネット

“個性”を武器に総合的な“IPエージェンシー”をめざす「株式会社TWIN PLANET」
ジャンルを超えたカルチャーを発信し幅広い人材をマネジメントしている個性的な芸能事務所”

平成29年12月に完成した新社屋。ここ数年はネット上のソリューション事業やコンテンツへの出資など、業務も幅広く行っています

事務所探訪第12回は、「株式会社ツインプラネット」です。鈴木奈々さんやぺえさんらが所属し、さらに文化人やYouTuberなど、幅広い人材をマネジメントしている個性的な芸能事務所です。ネットで購買層に大きく影響を持つ人材をインフルエンサーといいますが、昨年からはそういった動画編集もできるインフルエンサーのマネジメントも開始しました。また、ECファッションブランドのハイブリッド型プレスルームの運営、コンテンツ制作を行うなど、ジャンルを超えたカルチャーを発信しています。

お話をおうかがいしたのは、ツインプラネットの創業者であり、CEO/代表取締役でもある矢嶋健二さんです。学生サークルの活動から始まる矢嶋さんの活動の軌跡や、マネジメント哲学についてお聞きしました。

■ 学生サークルの活動をきっかけに、24歳で社長に

マーケティングの仕事やイベントを通して、仕事の面白さに目覚めたという矢嶋さん。中でも最も興味があったのが、やはりエンターテインメントの分野だったといいます

実家は京都の田舎のほうでした。奈良との県境で、筍が名産というくらい山が多く、コンビニも夜11時で閉まってしまうような場所です。当時はやりたいこともわからなかったので、とりあえず地元の高校に行って、関西の大学に進学しました。しかし、友だちと遊んでいても、その時に楽しいだけで、記憶に残るようなことはしていませんでした。「去年の今頃、何やってたっけ?」と振り返っても、思い出せない。これはマズいのではないかと思っているうちに20歳になって、周囲が就職活動を始めたんです。みんながスーツを着始めて、「少しでも給料のいい会社に行こう」とか「ここはボーナスが出るよ」といった話ばかりをし始めました。そんな条件だけで会社を選んで、これからの自分が働く時間を何十年分も決めるのだろうか。そう考えると、不安で仕方がなくなりました。会社を作りたいという具体的な目標があったわけではないのですが、田舎育ちですから、一か八かで何か大きなことをしたいという気持ちは昔からありました。それで、大学を2年で中退して、東京に出てきました。

上京してからは、大学生のベンチャーサークルに入って、慶應や早稲田の学生たちと、商品マーケティングやアンケートの仕事をしていました。学生の強みを生かして大学生たちにリサーチをかけて、その結果を企業に提案する仕事です。そのうちに、そのサークルで、集客が伸び悩んでいるアミューズメントパークなどを盛り上げる企画をしたいという話が出ました。そこで、よみうりランドに飛び込みで電話をかけたところ、奇跡的に興味を示してくれて、大学生にいっぱい来てほしいと。そこで「ここで日本一の大学祭をやります」と提案しました。

プロモーションの予算は150万円。当時の僕らにとっては大金です。それを軍資金として、敷地内に2メートル×2メートルのスペースを用意して、「学達」=「学生の達人」というコンセプトを打ち出し、いろいろな大学の小さなサークルに出店してもらいました。野球やマラソンのようなメジャーなスポーツはすでにフィーチャーされているので、手芸やジャグリングなどの小さなサークルにスポットを当てたんです。結果的に、200から300のサークルが集まりました。構成員5人のサークルが200サークル集まっても合計1000人ですから、それなりに絵になったんですね。

そのほかに、やはりエンターテインメントがほしいということで、ミスコンをやろうということに。出てくれる人も決まったのですが、大学の広告研究会から「勝手にミスをやらないでほしい。こちらに権利があるから」と苦情があったので、ミスコンではなく「ミスコン・ロワイヤル」というのを考えて実施することにしました。まず、新宿駅で、大学生の女の子を25人くらいスカウトして、それぞれの応援団を50人くらいつけ、文化祭では候補の子と応援団がよみうりランドの園内を練り歩いて、「投票をお願いします」と選挙運動をします。1時間経ったら投票を集計して15人を選び、そのあとの1時間でまた10人を選ぶ……。そして選挙ポスターみたいなものを25人分ズラッと貼っておいて、『バトル・ロワイアル』みたいに、落ちた子の顔写真に×をつけていきました。それは成功だったみたいで、そのあと6年くらい後輩たちが続けていましたね。

そのときに「エンターテインメントや企画っておもしろいな」「自分が何かを考えて、人が楽しんでくれるのっていいな」と思いました。そのあと、クラブイベントも手がけていたのですが、そのときの仲間の一人が歌手デビューすることになり、誘われて手伝っていたところ、オリコンで1位になり、100万枚売れたんです。そのつながりでレコード会社に入ることになり、大手レコード会社の子会社の社長に就任したのが、平成16年、24歳のときです。

■ ギャルのマーケティングが会社の原点

所属者は、タレント、モデル、俳優、アーティストなどさまざま。同社が発行している広報紙にはその一部が掲載されています

レコード会社では、社長とはいえ、親会社の社長から学ぶことも多かったですし、「やればできる」みたいなことを肌で感じさせてもらったのもその会社でした。今でも大変感謝しております。でも、レコード会社では音楽の仕事しかできません。もっといろいろなジャンルでプロモーションやブランディングをしたくて、26歳のときに独立して会社をつくりました。それがツインプラネットの始まりです。ツインプラネットというのは、学生サークルのときの名前です。ちょっと得体が知れない、何をやるのかわからない会社名ですよね。「○○レコード」といった社名よりも、そのほうがいろいろなことができると思って。

最初の事業はギャルのマーケティングでした。今でこそギャルという存在はメジャー化していますが、当時はギャル=チャラい、夢がない、というネガティブなイメージが強かったと思います。ですから、それを逆手にとり、ギャルのいいところをフィーチャーしようと思いました。流行に敏感だったり、クチコミ伝達力がすべてだったり、ファッションリーダーだったりというところをアピールしたいと考えました。当時、電通などの広告代理店も女子高生マーケティングを行っていましたが、女子高生全員が流行をつくるわけじゃない。クラスに30人女子高生がいたら、その中の3人くらいがリーダーになって流行を引っ張るわけです。そこで、感度の高い女子高生の中でも、中心になる子たちだけを集めてマーケティングしました。企業には、「ギャルたちにさまざまなプロモーションをすれば、クチコミも広がりますよ」と売り込みました。当時はネットもそれほど普及していなかったので、渋谷の街を中心に流行を発信するといった感じでしたね。

ギャルのマーケティングをベースにしつつ、タレントのマネジメントもスタートしました。レコード会社にいたので、マネジメントのノウハウはあったんです。きっかけは、椿姫彩菜(※旧芸名)との出会いです。当時、「歌舞伎町にすごくきれいなニューハーフの子がいるよ。おもしろい子だから一度会ってみて」と知り合いに言われて、会いに行きました。おもしろいと思ってマネジメントすることになり、彼女がうちのタレント第1号に。小森純も、もともとギャルのマーケッターとして活躍してもらっていました。鈴木奈々は『Popteen』の読者モデルだった時代に、小森純から「おもしろい後輩がいる。絶対ウケると思うから」と紹介されたんですよ。そのあたりから、「ギャルをきちんとマネジメントできる会社」という定評を得られるようになったと思います。

いま、スタッフは全社で約60名です。大阪、愛媛、福岡に支社があります。大きくは、タレントマネジメントを行うアーティストプロダクション事業部と、プロモーションや企業の商品開発を行うコンテンツマーケティング部のふたつに分かれています。

アーティストプロダクション事業部のスタッフは15名くらいです。タレントは大きく分けるとTPE所属、TP-ESTという準備軍、TP-SATELLITEという研究生の三段階。それぞれの段階に合わせてレッスンなどを実施し、活躍していけるようにサポートしています。

■ まだ価値のわからないものに光を当てる

事業を支えるスタッフたち。公募もしていますが、人の縁で優秀な人材を紹介されることも多いとか。個性的なアイデアが日々生まれる場所です

ギャルも文化人もそうですが、基本的に彼女らに共通するのは“個性”です。いわゆるエッジマーケティングですよね。世の中の端っこの部分や、光の当たっていない部分を真ん中にもってこようと。価値のないものや価値基準もまだわからないものに価値をつけて、マス化しようというのが会社全体のテーマです。

例えば、所属している文化人で“美人すぎる臨床心理士”山名裕子もそうです。彼女は普通にきれいですから、出会ったときには読者モデルやカットモデルをやっていました。でも、きれいな子はたくさんいるので、あくまでもその中の一人にしか過ぎませんでした。「夢は何なの?」と聞いたら、「臨床心理士の勉強をしている」と。臨床心理士というのは心理カウンセラーと違って、2年間専門的な勉強をする必要があり、なかなか試験も受からない。しかも、「臨床心理士」でネット検索すると、年配の男性の写真ばかりがでてきます。臨床心理士=オジさまという枠の中で、彼女のきれいさだったら“美人すぎる”という個性になります。しばらくたって「試験に受かった」と連絡がきたので、当社に所属する流れとなりました。

吹き抜けの多い開放的なオフィス。流行の発信地である表参道にほど近いオフィスでは、若いスタッフがいきいきと働いています
おしゃれなバーのようなエントランスの階段を降りていくと、そこにはレトロな電話ボックス。電話ボックス自体が受付の役割をしていて、ここから内線で担当者を呼び出せるようになっています

■ 自分からやりたいという子を育てたい

単純に精神として、「やりたい」という人と一緒に仕事をしたいと考えています。やりたくない人をうまく言ってやらせたとしても、絶対にほころびがくると思っているからです。何かのきっかけで「だって、私はやりたいとは言っていない」「やったほうがいいと言われたからやっただけ」ということになってしまいます。やはり、自分からやりたいという人を積極的にマネジメントしていきたいという気持ちがあります。

平成28年からは「NEXT/BREAK AUDITION(ネクストブレイクオーディション)」というオーディションを始めました。コンセプトは“全員面接”。書類審査なしで、マネージャーが全国を回って、全員に会いました。やはり会わないと、個性はわからないんです。あとは他人から見て「え、それってすごい個性じゃない?」と感じられるものは、自分ではわからないことが多いんですよ。親御さんも、その個性には気づいていないかもしれないですし。だから、選考の基準は“可愛い”だけではありません。“バツ2で20代、3人の子持ち”という人もいました。「逆に、それは個性じゃない?」ということですよね。

オーディションの受賞者が即戦力だと判断した場合は、レッスンなしで、そのままメディアに出させる人も多いですね。もちろん、磨けば伸びるタイプは、歌なら歌、ダンスならダンスで、専門の講師のレッスンをしっかり受けさせます。その中でSNS講座なども実施しています。今だったらYouTubeやSNS、SHOWROOMで個性をアピールして、見ている人をどんどん巻き込みます。それで人気が出るというのは、巻き込める能力が高いタレントだと判断するのです。

新しく完成した社屋の2Fにはレッスンスタジオを2スタジオ完備

極端にいえば、そこに容姿は関係ありません。これは、わざわざ自分から見に行かないといけないネットの時代ならではの傾向だと思います。テレビは一方的ですが、ネットは好きなものを自分で選んで見るメディア。好きでなければフォローしなければいいわけなので、そこではやはり個性の強い人が伸びていくということだと思います。

うちの成り立ちは“個性”だったので、そこを最大限強みにしていって、「この子はInstagramがいいよね」「この子はYouTubeがいいよね」というのを考えていきたいし、そこの目利きには自信があります。「これはテレビでウケる」「これは一般受けしないけれど、ネットでは面白いんじゃないの?」といった部分を見極めて、マネジメントしていきたいと思っています。

■ インフルエンサーマーケティングが時代を作る

ファッション、ビューティー、ライフスタイル、トラベルなどさまざまなジャンルのインフルエンサーが所属。音楽レーベルとも提携し、プロの楽曲を使うことができます

今、インフルエンサーマーケティングをしている会社は多いですが、単純にインフルエンサーの登録だけでやっても、あまり意味がないと思っています。もちろんプロ意識をもっているインフルエンサーもいると思いますが、アルバイト感覚でやっている人も多いと思います。そうすると、企業側の意図や効果が反映されるインフルエンサーに成長するとは限りませんし、効果が出るのに時間もかかります。そこで、意識の高い動画インフルエンサーを専属でマネジメントし、育成しようと思ったのが「IN-STAR(インスター)」を立ち上げたきっかけです。ほかと何が違うかというと、彼ら、彼女らにプロの動画クリエイティブチームをつけて、動画編集機能を覚えてもらったんですよ。「IN-STAR=ムービークリエイター」と打ち出しているのは、動画編集もできるインフルエンサーという意味です。昨年の9月には、電通、電通デジタルと組んでInstagram動画広告の制作・配信ソリューションを行う「MOVIE GENIC(ムービージェニック)」というサービスを開始しました。そのサービスではInstagramのストーリー広告枠に流す企業広告の動画を「IN-STAR」に所属しているインフルエンサー自らが制作しています。実際に大手食品メーカーさんなどで制作しましたが、効果は相当ありましたね。プロのカメラマンが撮るのと違い、彼ら、彼女らは商品を見て、どうフォトジェニックに撮るかといった、消費者の目線で取り組みます。おしゃれ感もあるし、押しつけにならないのが、すごくよかったようです。それ以外にも、化粧品や流通などの大手企業と打ち合わせ中です。

今は専属のインフルエンサーが70名くらいいますが、ほとんどセルフマネジメントができます。だいたい一人につき、1万人から10万人のフォロワーがいます。そのレベルになると、どう自分を見せるのかというのをつねに考えているので、マネジメントがほとんどいりません。ですから、マネージャーがしっかりつくTPEとは全然かかわり方が異なり、取り分についても優遇されます。どちらかというと、マネジメントをしているというよりは、エージェントという役割を担っていますね。

■ ECファッションブランドのハイブリッド型プレスルームを創設

昨年9月にアパレルブランドのプレスルーム「CHEST OMOTESANDO」をスタートしました。きっかけはリアルの店舗を持っていないECファッションブランドと、雑誌やテレビなどで活躍するスタイリストの世界をつなげようと考えたことです。今年3月からはオンラインでショールーム展開を行っているアイエントと提携し、「CHEST by STYLIA」という事業をスタートさせました。これによって、今までの「CHEST OMOTESANDO」のアイテムはすべてオンライン上でのリースが可能になり、忙しいスタイリストも時間を選ばずに衣裳を借りることができるようになります。2つのショールームが合併したことで、ブランド数は750、登録スタイリスト数は600名になりました。このショールームは、トレンドに強い影響力をもつインフルエンサーにも開放しています。

さらに、インフルエンサーがバイヤーになり、サンプルで世に出ることのなかったクオリティの高い商品を一般消費者が購入できる「IN-CHOICE(インチョイス)」のサービスもスタートしました。完全受注予約販売ですので、消費者は好きなものを好きな数だけ購入することができます。メーカー側も在庫のリスクを減らせるうえに、物を売る能力の高いインフルエンサーがPRすることで広告宣伝費も抑えることができます。

ハイブリッド型プレスルーム「CHEST by STYLIA」。スタイリストとの付き合いが多い同社ならではの発想で生まれたスペース。ECファッションブランド企業がテレビや雑誌などで自社製品をPRするきっかけにもなります
「CHEST by STYLIA」の壁面には、所属タレントなどのサインも

■ “IPエージェンシー”として発展させたい

©SNSポリス製作委員会/かっぴー

最近では、映画やアニメへの出資なども始めています。『SNSポリス』は製作委員会の一員になっていて、キャスティングとPRを担当しています。もともとプロデューサーとご縁があって、「今、何がおもしろいの?」という話になったときに、「SNSを題材にした漫画を描いている、かっぴーさんおもしろいよね」ということで、アニメ化することになったのです。GYAO!では3月24日より先行配信が始まっていて、TOKYO MXでは4月8日より放送予定となっています。何億円もかかるような大きな規模の作品は無理ですが、映画やアニメへの出資は、今後もおもしろいものがあれば検討していきたいです。

弊社は、“IPエージェンシー”として「JAPAN CREATIVE」を世界に届けるエンターテインメント企業でありたいと思っています。IPとは知的財産のことで、キャラクターIPという形で使うことが多い言葉ですが、うちはタレントも、イベントの名前も、すべてのコンテンツをIPとしてとらえて、そのIPを最大活用できるエージェントでありたいですね。

もうひとつ、具体的な目標として、ネットに強いタレントをもっと増やしていきたいです。10年ごとに流行は戻ってくるという説があるので、そろそろまたギャルがくるんじゃないかな。ギャルとYouTuberをかけ合わせて、“ギャルチューバー”というのもおもしろいと思います。今、すべてがかけ合わせになってきていて、アイドル、オタク、ファッションモデルといったジャンルが、グラデーション化しています。例えば、『おそ松さん』が今や「東京ガールズコレクション」でコラボしているような状態。そういう状況に順応できるコンテンツを作っていきたいですし、そういった時代のニーズに合わせられるアイコンのような存在を育てていきたいと思っています。

 

 

 

株式会社ツインプラネット ホームページ http://tp-co.jp/
『SNSポリス』公式サイト http://sns-police.com/
「CHEST by STYLIA」 プロジェクトサイト http://fashion-tech-idea.com/
受注販売型ECサイト「IN-CHOICE」 https://in-choice.jp/

 

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