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004 MC企画

人にしかできない技と心―言葉を伝え、感動を伝える「株式会社MC企画」。メディアの世界を志す若き才能に、チャンスの場を与えてあげたい関西を中心に活動するプロダクションが厳しい芸能の世界に楔を打ち込む

株式会社MC企画の拠点となるビル

事務所探訪第4回は、「株式会社MC企画」です。

MC企画の前身は、現・同社代表取締役会長の勝部武久氏が現役のアナウンサーとして活躍していた頃に興した「CHK中央放送研究会」というアナウンサー養成所。会社としての設立は昭和52年のことで、現在は東京と大阪に事務所を構え、多くの俳優やアナウンサー、声優などを抱え、グループ会社も含め総勢約50名のスタッフで運営しています。勝部氏は、MC企画に所属するアナウンサーなどの新人登竜門の役割も担う「千里ニュータウンFM放送」(平成18年設立)代表取締役のほか、「日本ペットモデル協会」(平成9年設立)会長、「一般社団法人国際どうぶつ映画協会」(平成22年設立)代表理事なども務められ、幅広く活躍されています。

今回は勝部氏と、長きにわたり関西事務所をリードしてきた制作部専任部長・岡 完氏のお二人にお話をうかがいました。

■ 労働闘争花盛りの時代、フリーから契約アナへ

昭和44年頃から数年間、数局で契約アナウンサーとして仕事をしていました。一人でマイペースにやりたい人間で、自分にはこの道しかないと思ってアナウンサーの道を選びました。局に入ったのは初任給が13000円くらいの時代。その昔、フランク永井さんが『13800円』という歌を歌っていたこともありましたが、ちょうどそれに近い給与だったんですよ。

組合闘争の多い時代でしたが、その中にあっても「ストライキ破り」というのが全国であったんです。言葉は悪いんですけどね。局員たちがストライキを行うので、ニュースを読む人がいなくなります。放送局がニュースを読まなかったら意味がないので、その穴埋めとして、フリーでしゃべりのできる人間が局に派遣されていました。その経緯でそのまま私はアナウンサーという立場で、局で仕事をすることになったんです。

■ 転身した局では、リスナーを考慮しない理不尽ないじめにも遭う

岡氏(左)とMC企画の礎・勝部氏(右)

ストライキ破りで行ったのに、ストライキをする立場の局員に誘われました。でも、納得いかないことには「NO」と言いたい気質で、「業界ではこうだから」と言われると、反発する気持ちが強く、自分がこの業界を変えてやろうという気持ちがあったんです。それでストライキの誘いに「NO」と答えると、アナウンサーとしての仕事でいじめに遭って。放送局のいじめってえげつないんですよ。放送中にニュースを三行ぐらい読むと、その文末と四行目の頭があわない――。放送前にトイレに行っている間に何かされていたわけです。これって個人の問題のいじめであって、まったく関係がないリスナーに一番影響が行ってしまう。それでこっぴどく叱られ、言い訳をしても、「命の次に大事な原稿を置いてトイレに行くのか」などと怒られるわけです。たしかに理屈としては間違っていませんからね。

また、番組宛てのはがきは人気のバロメーターなんですが、私の担当日にはがきが多かったりすると、もともと局アナだった人たちは面白くないんです。そういったこともいじめにつながるんですね。

■ アナウンサーになりたい人たちを支援する「CHK中央放送研究会」の発足

その頃、交通事故に遭い、ふと私が死んだら家族はどうなるんだろうか、入院して休んだら、フリーなので明日からメシが食えない……。これじゃいかんということでアナウンサー以外の仕事もいろいろ考えていました。

声の仕事をする人のために録音スタジオも

当時、自分が勉強した養成所で事務局長もしていました。とはいえ、私が何かをやるといっても、養成所はノウハウを蓄積していますから、そこと同じことをやってはいけない。ただ、今のように「タレント」というのはいない時代だったので養成所に入っても、アナウンサーとして局に入れなかったら辞めていくわけです。でもほとんどの人が入れません。お金を払って勉強しているのに、力があっても局アナに通らない人がたくさんいて、進む道を変えてしまう……。それでは勉強が無駄になってしまうのではないかというような思いがありまして。就職の世話はできなくても、学校が何か導きをしてあげるべきではないかなと考えていました。

そうした理由で、昭和49年に「CHK中央放送研究会」という学校を始めました。やわらかいイメージで、みんなに集まってきてほしいというような気持ちから大学の放送クラブのような名前をつけました。それに私がまだ現役アナウンサーでしたから、みんな学校へ勉強をしにきて、昼間や空いているときは私の現場を見に来ていました。いわゆる徒弟制度のような感じですね。すると「こういうのできないかな」と仕事依頼の声がかかって、「ああ、彼はいい声ですからやらせてみましょう」となったりもしましたね。これはまだ会社を創設していない頃の話です。3年間、自分の仕事の合間にレッスンをしていましたら、「あそこに行くと仕事を紹介してもらえるから」と20数人集まってきました。

■ コネクションが大切な業界にあって新人ばかりでスタートしたMC企画

MC企画を動かす事務所の風景

業界はコネクションの世界なので、勉強させた以上はちゃんと仕事もさせてあげないと、と思っていたため、MC企画というマネジメントの会社を正式に設立しました。私は外部からタレントさんを引き抜くのは、仁義のないことと思っており、大嫌いです。自分で育て、自分の責任の範囲でちゃんとしてあげないと……という変な高モラルを持っていましてね。だから、新人ばかりで事務所をスタートしました。

最近は専門学校を卒業しても、メディアの仕事には結びつかないことがほとんどです。本来は、最低何年か仕事をしてみて、放送の仕事に入れるかどうか判断するという流れが必要だと思います。そういう想いもあって立ち上げた会社なんです。

ちなみに厚生労働大臣の許可をもらったのは、関西の芸能プロダクションではうちが初めての方で、当時はまだまだ大手のプロダクションも許可をもらっていませんでした。

■ コミュニティ放送の「FM千里」で平等にチャンスを与える

当社は、「FM千里」という放送局も運営していますが、放送局の免許はなかなか許可がおりません。プロダクション関係の会社で放送局をもっているというのは、現在は当社以外にはありません。

現在、アナウンサーは100名くらい所属しています。専門学校を卒業したらすぐ放送局で仕事ができるというのは、彼らの親から見ればすごく嬉しいことです。FM千里は「コミュニティ放送」といいまして、全国で聞くことができます。インターネットでもスマートフォンでも。専門学校を出て、うちにオーディションに受かり所属すると、すぐこのFM局で放送の経験をさせます。コミュニティ放送は送信エリアの制限があるので、難聴対策で今は日本全国でも外国でも通信手段で聞けるわけです。アメリカからメールがきたりもしますよ。

アナウンサーで出演している子が、実家のおばあさんに大阪のラジオでしゃべっていると教えてあげたら、毎週パソコンの前に座って涙を流して聴いているんだそうです。そういうのは今までは考えられないことでした、どんなに放送が好きでも。せっかく多額のお金を払って勉強するからには、ちゃんとそういう場を提供してあげたいですよね。

日本ペットモデル協会も運営

私は、「土俵の下」で争ってつぶれるんだったら、まず「土俵の上」で勝負しなさいと言っています。それなら人気が出て有名になるのも、人気が出なくて辞めていくのも本人次第。チャンスもないのにそこであきらめてしまうなんて、人生の大きなマイナスです。これを私のポリシーとして、放送局の運営を行っています。

■ MC企画を知ってもらうための苦しかった日々

当初、関西ではMC企画の名はまったく知られていなかったので、名刺を作り、プロデューサーにお会いして、「おしゃべりの仕事をお願いします」「オーディションください」とご挨拶に行きました。さらに隣のプロデューサーにも行き、ひとまわりして帰ってくると、ごみ箱にうちの名刺が捨ててある。どんなに悲しかったか……苦しかったですね。業界で名前を知られるようになるのは大変なことです。当時のことは今でも鮮明に覚えています。産みの苦しみでしたね。

岡さんは長い経験がありますので、ずっと一緒にやってもらっています。今はペットモデルの事務所もやっていますが、以前、ペットは単価が高いので大変と言われていたんです。実は、アイフルのCMで有名になったくぅ~ちゃんは、グループ会社である「日本ペットモデル協会」の登録モデルなんですよ。

■ ドラマなどの仕事が少なく、舞台が中心にならざるを得ない現状

いま関西ではほとんどドラマの仕事はありません。NHKで1本か2本あるぐらいですよね。民放局はほぼ作っていないし、撮影所もひどい状態です。それでは、どんなに頑張って関西で役者をやろうと思っても難しい現状なんです。

所属する俳優や声優の名を一堂に

そうすると事務所の経営も厳しくなってきます。今後、何をすべきか考えていかないといけない。十年一昔と言いますが、10年間新しいビジネスをやったら、その次は違うことを考えていかないと、会社は維持できない。とくに関西はタレントや役者はいるが、関西での制作自体がないんです。

また我々がいくら頑張っても、制作を関西に戻すことは不可能。だからどうしても東京に出ざるを得ません。関西ではメディアの仕事はなくて、舞台の仕事しかないですね。ほとんどテレビの仕事はやっていません。役者も同じ。朝日放送が土曜ワイド劇場をやっていますが、東京で撮影していますし。それを関西に戻すというのは、東京都ならぬ「大阪都」にでもならないと無理でしょうね。

現状からすると、役者は舞台、メディアの仕事ならナレーション、あるいはCMをやるとか、映像ならVP関係とか、そういう仕事しかありません。

本当はみんなテレビに出たいんですよね。舞台しか考えていないという人も中にはいますが、テレビ出演のチャンスがないんですよ。テレビの仕事を「しない」と「ない」とでは大きな違いです。

■ 低予算の中、役者が演技のできる場があれば引き受け、仕事をつくりだす

とはいえ最近、舞台も出演するのがしんどくなってきています。一方で、VPというのが一時期減ったんですが、ちょっとずつ増えてきました。いわゆるグロスで、これをやるのでほかの事務所も含めてキャスティングしてもらえないかと交渉しているためです。また、役者でいい声をしている人は、ナレーションの仕事をできるように考えたりもしますね。

稽古ができる広いスタジオを有している

それと、民放局もまったくドラマがないかというと、そうではなくて関西ローカルの深夜ドラマがあります。かなりの低予算なので「ええっ、このギャラで!?」という感じなんですが、まったく仕事がないよりはいいですよね。役者は演じる場所がほしいですから。「ギャラのことはいいから、演技をさせてもらえるならやりましょう」と引き受けています。昔のいい時代を知っているものからすれば、「このギャラではかわいそうだよね……」と思います。

役者であろうと、アナウンサーの卵であろうと、動物であろうと、そういう人たちがこれまで勉強してやってきたものをどう動かすか――というのがプロダクション業務の基本だと思うんです。だから、仕事がなければ作ってあげなければいけません。

■ 10月27、28日、「第1回国際どうぶつ映画祭」を開催

10月27、28日に神戸ハーバーランドにある神戸新聞社ビルの広場で、「第1回国際どうぶつ映画祭」(http://iaf-fes.com/)を行う予定です。数多くの映画祭が行われていますが、うちの場合は動物をテーマにして、動物が主演、または動物が主である映画を集めます。これは世界でも例をみないイベントです。世界から何十本も集めたいところですが、第1回なので数本のみの上映を予定しています。動物つまりペットたちと遊べるように、カーニバル的な要素を取り入れた遊び場も併設したいと考えています。ペットをはじめとした動物たちの置かれている現状を正しく理解してもらい、盲導犬など人間のために活躍してくれている動物をかわいがろう、動物をむやみに捨てたりしないようにしよう、という啓発の気持ちもあります。

名誉総裁はプリンセス天功さんです。彼女もすごく動物が好きで、2日間とも来てくださるんですよ。当日はレッドカーペットを授賞した飼い主さんと、タキシードや羽織袴などで正装した動物たちが一緒に歩き、天功さんから賞をもらう、といった企画も考えています。現在、プロ・アマを問わない動物・ペット映像コンテストにどんどん応募が集まってきているんですが、その中から優秀作品を表彰するんです。

こういうのを見て、ペットを飼っている方が、自分のペットを主役にしたプロ並みの映画を作りたい、作って欲しいという希望を叶えるというビジネスも進めたいと考えています。お客様から予算をいただいて、その範囲内でそのペットを主役にした台本を書き、MC企画の役者中心にキャスティングをして作ります。おまけに、作品は文句なしに映画祭に出品できます。

実は今、動物の映画を作っており、1本目の撮影は終わりました。現在、映画制作の依頼が複数来ていますので、今後もそれを拡大し、MC企画所属の役者に出演してもらい、新人の監督さんもそこで育ってくれればいいなと思います。

株式会社MC企画ホームページ http://www.mc-kikaku.jp/
千里ニュータウンFM放送(FM千里) http://www.senri-fm.jp/
CHK中央放送研究会 http://www.chk.jp/
日本ペットモデル協会 http://www.petmodel.jp/
第1回国際どうぶつ映画祭 http://iaf-fes.com/

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