実演家の権利Q&A

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実演家の「著作隣接権」って、 ほかの人へ譲渡できるもの?

『季刊PRE』第8号掲載

 答えは、「はい、できます」。
 実演家の著作隣接権は、ほかの財産権と変わりなく、その全部または一部を他人に譲渡することができます。著作権法上、これについての明確な規定があります(103条による61条1項の準用)。ここでいう譲渡とは、実演家本人からほかの人への譲渡もありますし、すでに実演家から譲渡を受けていた人からさらにほかの人への譲渡もあり、一種の権利主体の交替です。
 全部譲渡の場合は、実演家の著作隣接権を全体として、その主体を実演家本人からほかの人へ変更することですが、一部譲渡の場合は、実演家の著作隣接権の内容をその一部に限定して譲渡することをいいます。例えば、「録音権及び録画権」(91条)のみを譲渡すること、あるいは利用の態様に応じて権利を細かく分け、「放送権及び有線放送権」(92条)については有線放送権のみを譲渡するようなことも、理論的には可能でしょう。権利内容のほか、期限付きあるいは権利行使のテリトリーを限定した譲渡も、一部譲渡といえます。

「実演家人格権」も、 ほかの人へ譲渡できるもの?

 答えは、「いいえ、できません」。
 実演家人格権は、実演家の著作隣接権とは別個の権利です。実演に関する実演家本人の人格的利益の保護を目的とするものなので、その実演家本人にのみ帰属し、その実演家本人により行使されます。これについて著作権法101条の2は、「実演家人格権は、実演家の一身に専属し、譲渡することができない」と明確に規定しています。したがって、実演家本人の死亡とともに、その実演家人格権も消滅するのです。
 では、実演家の死後は、もはやその人格的利益を保護しないのでしょうか。いや、そうではありません。実演は、実演家の人格の発露である以上、その人格的利益は、実演家の死後においてもきちっと守られるべきものです。著作権法は、「その実演の実演家の死後においても、実演家が生存しているとしたならばその実演家人格権の侵害となるべき行為をしてはならない」と規定しています(101条の3)。また、差止請求をなしうる人についての規定(116条)もあります。

(芸団協・実演家著作隣接権センター 事務局長 増山 周)

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