著作権用語辞典

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裁定制度

さいていせいど

他人の著作物実演レコード放送番組等を利用するときは、著作権者や著作隣接権者の許諾が必要であるが、当該権利者の所在が不明である等の理由で許諾が得られない場合、文化庁長官の裁定を受け、著作物等の通常の使用料額に相当する補償金を供託することで適法に当該著作物等を利用できる制度のこと(著作権法第67条から第69条)。権利者の所在が不明である場合に、文化庁長官の裁定を受けるためには、「相当な努力」を払って不明権利者を探すことが求められる(著作権法第67条)。

私的使用のための複製

してきしようのためのふくせい

自分自身や家族など、限られた範囲内で利用するために行う著作物の複製のこと。個人的にまたは家庭内、あるいはこれに準ずる限られた範囲内において使用することを目的とする場合に、権利者の許諾を得なくても自由に複製を行うことが出来ると定められている (著作権法第30条)。例えば、街のCDショップで購入した音楽CDを、自分が聞くために複製することが私的使用のための複製にあたる。
 しかし、以下の場合は私的使用のための複製にはあたらない。
 ①公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(例えば、音楽CDの高速ダビング器)を用いて複製するとき
 ②コピーガードを外すなどして技術的保護手段の回避により可能となった複製を、その事実を知りながら行うとき
 ③著作権等を侵害する自動公衆送信を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、その事実(=著作権等を侵害する自動公衆送信であること)を知りながら行うとき(例えば、無許諾でアップロードされたことを知りながら、音楽ファイルをダウンロードするような場合)
 また、政令(著作権法施行令)で指定されたデジタル方式の装置・媒体がデジタル方式の場合は「私的録音録画補償金」を権利者に払わなければならないとする「私的録音録画補償金制度」がある。

私的録音録画補償金制度

してきろくおんろくがほしょうきんせいど

現在の著作権法が1970年に成立した当初、私的使用を目的とした個人または家庭内での複製については従来自由かつ無償であったが、デジタル技術の発展・普及に伴う私的使用のための複製の増大によって、権利者が被る経済的不利益を補償するために1992年に創設された制度。私的使用を目的として、政令(著作権法施行令)で定めるデジタル方式の録音録画機器や媒体を用いて、録音又は録画をする者は、補償金を支払わなければならないとしている(著作権法30条2項)。しかし、私的録音録画するたびに補償金を支払うことは、私的録音録画を行う者にとって大きな負担となる。そこで、政令(著作権法施行令)で定められた録音録画機器や媒体を製造するメーカーが協力義務を負って、機器等の購入する際に販売価格に一定額の私的録音録画補償金があらかじめ上乗せし、一括して支払う仕組みが用意されている(著作権法104条の2から104条の10参照)。私的録音についてはsarahが、私的録画についてはSARVHが、それぞれ権利者のために私的録音録画補償金を徴収し、各構成団体を通じて、権利者に分配している。

実演

じつえん

音楽や脚本などの著作物を、演じたり、演奏したり、歌唱したり、朗詠したりすること。サーカスや手品など著作物を演じないが、芸能的な性質を有するものも、実演に含まれる(著作権法2条1項3号)。例えば、スタジオで歌を歌ったり、演奏したり、テレビドラマで演技をしたり、ステージ上で踊ることなどが実演にあたる。

実演家

じつえんか

俳優、舞踊家、演奏家、歌手など、著作物実演する者をいう。例えば、楽曲を歌ったり、脚本に基づいて演技したりする者のほか、サーカスや手品師など芸能的な性質を有することを行う者も実演家となる(著作権法2条1項3号参照)。また、実演家を指図して実演をさせているようなオーケストラの指揮者や舞台の演出家も、実演家とされている(著作権法2条1項4号)。

実演家として、著作権法による保護を受けるためには、特定の機関や団体に登録するなど手続は必要とされていない(無方式主義)。

実演家人格権

じつえんかじんかくけん

実演家の人格的利益を保護するため、著作権法に定められた権利。具体的には、氏名表示権(著作権法90条の2)と同一性保持権(著作権法90条の3)が定められている。実演家人格権は、他人に譲渡することも、相続の対象にもならない(著作権法101条の2)。ただし、実演家の死後においても、実演家が生きているとしたならば、実演家人格権の侵害となる行為をしてはならないと定められている(著作権法101条の3)。

実演家等保護条約(ローマ条約)

じつえんかとうほごじょうやく(ろーまじょうやく)

実演レコード、放送といった著作隣接権の保護に関する基本条約。正式には「実演家レコード製作者及び放送機関の保護に関する国際条約」。「隣接権条約」または「実演家等保護条約」との略称も用いられる。1961年にイタリア・ローマで作成されたことから、一般には「ローマ条約」と呼ばれる。1964年発効。2012年3月現在の締結国は、91カ国。日本は1989年に加入している。実演家の権利については、承諾を得ない生の実演の固定や放送に対して、これを防止することができるとする保護を与えるほか(ローマ条約7条参照)、わが国の著作権法が定める商業用レコードの二次使用料請求権の手本となった、レコードの二次使用(ローマ条約12条)などを定めている。

実演家の権利

じつえんかのけんり

実演家の権利には、実演家の人格的利益の保護を目的とした権利である実演家人格権と、財産的利益の保護を目的とした経済的権利とに大きく分けられる。実演家人格権には、現行の著作権法では、氏名表示権(著作権法90条の2)と同一性保持権(著作権法90条の3)とが定められている。

他方、財産的利益を保護することを目的とした権利は、その権利の性格によって、許諾権報酬・補償金請求権とに分けることができる。許諾権には、録音権及び録画権(著作権法91条1項)、放送権及び有線放送権(著作権法92条1項)、送信可能化権(著作権法92条の2第1項)、譲渡権(著作権法95条の2)および商業用レコードに係る貸与権(著作権法95条の3第1項)がある。他方、報酬・補償金請求権には、商業用レコードの二次使用料請求権(著作95条1項)、一定期間経過後の商業用レコードの貸与に係る報酬請求権(著作権法95条の3第3項)、リピート放送等に係る報酬請求権(著作権法94条2項)、放送される実演同時再送信に係る報酬・補償金請求権(著作権法94条の2、102条6項)および私的録音録画補償金請求権(著作権法102条による30条2項の準用)がある。

実演の保護期間

じつえんのほごきかん

実演は、実演を行ったときに発生し、当該実演が行われた日の属する年の翌年から起算して50年間保護される(著作権法第101条)。例えば、2012年4月に行われた実演は、等しく2062年12月31日まで保護されることになる。著作物著作者の死後50年まで保護されるが、実演は実演を行ってから50年しか保護されないため、10代、20代の頃に行った実演の保護期間が、当該実演に係る実演家の生存期間中に満了してしまうこともある。

視聴覚的実演に関する北京条約(北京条約)

しちょうかくてきじつえんにかんするぺきんじょうやく(ぺきんじょうやく)

2012年6月に採択された、WIPOが管理する条約のひとつ。条約が採択された地が中国の北京であることから、単に「北京条約」とも称される。インターネット時代に対応するため、1996年にWPPT(実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約)が採択されたが、音に関する実演のみを対象としていたため、視聴覚的実演に関する条約については、引き続き検討が進められた。2000年12月には、全20カ条のうち、視聴覚的実演に財産的権利を付与する条項を含む19カ条について暫定合意が得られたものの、権利の移転を巡る条項について合意が得られなかったため、採択が持ち越された。採択された北京条約では、権利の移転については各国の国内法に委ねられることになった。

自動公衆送信

じどうこうしゅうそうしん

公衆送信のうち、公衆からの求めに応じ自動的に行うもの(例:インターネットなどを用いてリクエストを受けて行う送信など)。ただし、放送または有線放送に該当する者は除かれる(著作権法第2条1項9号の4)。例えば、インターネットを通じて、視聴者からのリクエストを受けて、自動的に行う送信がこれにあたる。

支分権

しぶんけん

著作者実演家などには、著作者の権利や実演家の権利として、複製権録音権・録画権演奏権上演権公衆送信権送信可能化権譲渡権など著作物や実演などの利用態様ごとに権利が認められているが、その際に「複製権」や「送信可能化権」など、ひとつひとつの権利をそれぞれ指し示す場合に、支分権という言い方をする。

氏名表示権

しめいひょうじけん

●著作者の氏名表示権

著作者が、その著作物を公に提供する際に、その実名もしくは変名(ペンネーム)を表示したり、または著作者名を表示しないこととする権利(著作権法19条1項)。ただし、著作者による意思表示がない限り、すでに著作者が表示されているところに従って表示することができる(著作権法19条2項)。また、著作者名の表示は、公正な慣行に反しない限り、その著作物の利用目的・態様に照らして、著作者の利益を害するおそれがないときには、省略するなどすることができる(著作権法19条3項)。

●実演家の氏名表示権

実演家が、その実演を公に提供する際に、その氏名もしくは芸名を表示したり、実演家の名前を表示しないこととする権利(著作権法90条の2)。ただし、実演を利用する者は、既に表示されているところに従って、実演家の名前を表示すればよい(著作権法90条の2第2項)。また、実演家の氏名等の表示は、その実演の利用目的・態様に照らして、実演家の利益を害するおそれがないときや、公正な慣行に反しない場合には、省略などをすることができる(著作権法90条の2第3項)。

ジャスラック

じゃすらっく

JASRAC(一般社団法人日本音楽著作権協会)

ジュネーブ条約

じゅねーぶじょうやく

レコード保護条約(ジュネーブ条約)

上映権

じょうえいけん

著作者の権利として財産的利益を保護するために認められている、著作物を、公に上映する権利(著作権法第22条の2)。上映とは、映写幕などに映写することをいい、映画に収録されている音を再生することも含まれる(著作権法第2条1項17号)。例えば、映画の著作物を映画館において劇場上映する場合には、上映権の対象となる。かつて上映権は、映画著作物のみに認められていたが、平成11年著作権法改正により、映画著作物以外の全ての著作物に認められた。例えば、写真やテキストなどをスクリーンに映し出して、公に提示する行為についても上映権が及ぶことになった。

上演権

じょうえんけん

著作者の権利として財産的利益を保護するために認められている、音楽以外の著作物を、公に上演する権利(著作権法第22条)。上演とは、演奏・歌唱以外の方法によって著作物を演じることをいい(著作権法第2条1項16号)、例えば、演劇台本を用いて、劇場で客に対して演じる場合には、演劇台本の著作物に係る上演権の対象となる。また、上演には、生の上演だけではなく、著作物の上演をCDやDVDなどに録音、録画して、再生することも含まれる(著作権法第2条7項)。しかしながら、そのCDやDVDの中で、著作物を上演している実演家には、上演権は認められていない。なお、非営利・無料で、出演者に対して報酬が支払われない場合には、上演権は制限される(著作権法第38条1項)。

商業用レコード

しょうぎょうようれこーど

市販の目的をもって製作されるレコードの複製物(著作権法2条1項7号)。例えば、いわゆるレコード盤(アナログディスクレコード)だけではなく、CD、MD、カセットテープなどをいう。

商業用レコード送信可能化権使用料

しょうぎょうようれこーどそうしんかのうかけんしようりょう

商業用レコード送信可能化する際に利用者が権利者に支払う使用料をいう。芸団協は、放送番組に使用された商業用レコードの実演に係る送信可能化について、著作権等管理事業者として使用料規程を策定し、徴収を行っている。

商業用レコードの貸与権および貸与報酬請求権

しょうぎょうようれこーどのたいよけんおよびたいよほうしゅうせいきゅうけん

実演家およびレコード製作者は、商業用レコードを公衆に貸与することについて許諾権を有する(著作権法95条の3第1項および97条の3第1項)。この許諾権は、商業用レコードの販売後1年以内しか認められていない(著作権法95条の3第2項および97条の3第2項)。しかしながら、販売後1年を超え、著作隣接権保護期間が終了するまでは、商業用レコードを貸与する場合には、実演家に対して報酬を支払わなければならないとする、報酬請求権が認められている(著作権法95条の3第3項および97条の3第3項)。通称としては、この許諾権に基づく使用料と、報酬請求権に基づく報酬とを合わせて「貸レコード使用料」と呼ぶこともある。

芸団協は、実演家の貸与報酬請求権を行使する団体として、文化庁から指定され、この報酬請求権に基づく報酬と合わせて、貸与権に基づく使用料をCDレンタル店より徴収している(著作権法95条の3第5項)。芸団協はCDV-Jと協議し、使用料等を取り決めている。なお、レコード製作者については、日本レコード協会が文化庁からの指定団体となっている(著作権法97条の3第5項)。

商業用レコード放送二次使用料請求権

しょうぎょうようれこーどほうそうにじしようりょうせいきゅうけん

放送事業者等が、商業用レコードを用いた放送、有線放送又は放送を受信して同時に有線放送を行った場合、実演家およびレコード製作者には、二次使用料を受ける権利として、請求権が認められている(著作権法95条1項、97条1項)。通称として「商業用レコード二次使用料」という。

芸団協が、実演家の有する商業用レコード放送二次使用料請求権を行使する団体として、文化庁から指定され、権利行使している。商業用レコード二次使用料の額については、放送事業者やその団体等と協議して決定し、徴収を行っている。(著作権法95条5項)。なお、レコード製作者については、日本レコード協会が指定団体となっている(著作権法97条4項)。

商業用レコード録音権使用料

しょうぎょうようれこーどろくおんけんしようりょう

放送事業者は6カ月間を超えて著作物等を保存する場合等、その権利者に許諾を得る必要がある。このため芸団協と放送事業者は、商業用レコード二次使用料の契約時に、著作権等管理事業法に基づいて商業用レコードの録音について利用範囲を定め、包括的な利用許諾契約を行っている。

肖像権

しょうぞうけん

無断でみだりに写真撮影されたり、撮影された写真を勝手に利用されない権利。人格権的利益としてのプライバシー権と、財産権的利益としてのパブリシティ権との、2つの側面を有している。法律上、明文化されていないが、判例を通じて認められてきた。

譲渡権

じょうとけん

著作者の権利として財産的利益を保護するために認められている、映画の著作物を除く著作物を、その原作品または複製物により、公に提供する権利(著作権法第26条の2)。実演家およびレコード製作者にも、譲渡権が認められている(著作権法第95条の2、97条の2)。例えば、音楽CDを最初に提供する場合には、著作者、実演家およびレコード製作者の譲渡権が及ぶが、いったん適法に販売されると、以後、当該音楽CDを提供する場合には譲渡権は及ばないため(著作権法第26条の2第2項、第95条の2第3項および第97条の2第2項)、中古CD販売には譲渡権は及ばない。なお、映画の著作物については、頒布権が認められている。

スリー・ストライク・ルール

すりー・すとらいく・るーる

インターネット上に、違法に映画や音楽などの著作物を繰り返しアップロードなどする者に対して、インターネットへの接続を切断する制度。フランス、ニュージーランド、台湾および韓国において導入されている。例えば、フランスのスリー・ストライク・ルールでは、行政機関から2回の警告された後も、違法行為を続けた場合には、行政機関が裁判所に対して、侵害行為者によるインターネットへの接続を切断することを求めることができる。

世界知的所有権機関(WIPO)

せかいちてきしょゆうけんきかん

知的財産に関する国際事務局を強化するため、著作権の基本条約であるベルヌ条約と、産業財産権の基本条約であるパリ条約との国際事務局(BIRPI)を発展的に解消する形で1970年に設立された国際機関(1974年以降、国際連合の専門機関)。2012年3月現在の締結国は、185カ国。
 知的財産権に関する条約の管理を行うとともに、新たな国際条約の策定や、途上国における知的財産権保護のための基盤整備支援等を行っている。

世界貿易機関(WTO)

せかいぼうえききかん

自由貿易促進を目的とした国際機関。GATTウルグアイ・ラウンドにおける合意によって、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(WTO設立協定)に基づき、1995年1月1日にGATTを発展解消させる形で成立した。2012年3月現在の加盟国は、153カ国。
 WTO設立協定の附属書のひとつとして、「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定」(TRIPS協定)がある。

送信可能化権

そうしんかのうかけん

送信可能化する権利。著作者著作権法第23条)、実演家(著作権法第92条の2)、レコード製作者(著作権法第96条の2)および放送事業者・有線放送事業者(著作権法第99条の2、100条の4)に認められる許諾権のひとつ。送信可能化とは、サーバーにアップロードするなどの方法により自動公衆送信し得る状態にすることをいう(著作権法第2条1項9号の5)。例えば、ホームページに音楽ファイルを無許諾でアップロードし、視聴者からのリクエストがあれば、直ちに送信できる状態に置かれていれば、実際に、視聴者に対して音楽ファイルが送信されていなくても、送信可能化権の侵害となる。

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