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中国では実演家の権利保護はどうなっているの?

『季刊PRE』第11号掲載

 中国では、著作権法の全面的改正が進められており、去る3月31日にその改正法案の全貌が公表されました。実演家の権利、とくに視聴覚実演(映像実演)に関する権利はどのように規定されているのか、とても気になるところです。
 改正法案を読めば、実演家の権利に関する条文は、実は31条~33条の3か条しかないことがわかりました。31条は「実演家の定義」、32条は「実演家の諸権利」、33条は「視聴覚著作物(映画の著作物)に係る実演家権利の帰属等」です。
 32条は、音の実演か映像の実演かを問わず、まずは実演家にその実演に関して「氏名表示権」、「同一性保持権」、「生放送・生有線放送権」、「固定権」、「実演の固定物またはその複製物を複製し、発行し、貸与する権利」および「利用可能化権」を付与しています。
 次に、33条では、視聴覚著作物(映画の著作物)に固定されている実演について、「当事者間の書面による反対の約束がない限り、氏名表示権を除き、実演家の経済的諸権利を映画製作者に帰属する」と規定する一方、出演に関しては「書面による契約の締結および報酬の支払い」をしなければならないこと、ならびに、「契約に別段の定めがある場合を除いて、映画製作者が当該視聴覚著作物(映画の著作物)を自ら利用し、あるいは、他人に利用させる場合には、実演家は合理的な報酬を受ける権利を有する」ことも規定しています。わが国著作権法上の規定に比べ、少なくとも以下の2点については評価すべきところでしょう。すなわち、
①実演家を出演させる場合には必ず書面による契約を締結し報酬を支払うことの義務化(書面主義)
②権利の推定譲渡と引き換えに実演家には二次利用に関する報酬を受ける権利の明文化(推定譲渡+報酬請求権)
 では、録音物に固定されている実演については、実演家にはどんな権利があるのでしょうか。改正法案36条(録音物の製作者の権利)では、「無線放送または有線放送、あるいは技術設備による公衆への伝達において録音物を用いた場合には、実演家および録音物の製作者は、共同で合理的な報酬を受ける権利を有する」と規定しています。わが国のレコードの放送二次使用料に関する報酬請求権に似ていますが、範囲は拡大され、公衆への伝達(例えば、ホテルやレストランなどにおけるレコードの演奏など)にもおよんでいます。ただ、この権利は集中管理されるべきかどうかは、具体的な規定は見当たりません。また、配信専用音源は録音物の定義(34条)に含まれるかどうかについても、現時点は不明で、今後確かめる必要があると思われます。

芸団協・実演家著作隣接権センター 事務局長  増山 周

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